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「おぉ、利三か」
「相変わらず浮かぬ顔をしておるな」
ようやく気づいた秀満を気遣い、いたわるように話しかけた。
「……」
「殿のことか?」
「いかにも。利三殿は現在の状況に満足しておるのか?」
「某は殿を信じ付いていくのみ」
「そうか……」
二人が静かに話していると、すぐそばを急使が馬を飛ばして駆け抜けていった。
「何事かな?」
秀満は利三と顔を見合わすと、すぐに後を追った。
城の軍議場にはすでに主だった武将たちが集まり、孫権の登壇を待っていた。
その間、武将たちは口々にいろんな噂話を喋りだしては、否定し、あるいは肯定し、と言葉を酌み交わしている。
秀満と利三は耳を傾けるだけで参加はせず、光秀の姿を探しだし、近づいていく。
「殿」
「二人とも来ていたか」
「はっ、して先の早馬は?」
「まだわからぬが、官渡を偵察していた者共らしい。決着がついたのであろう、というのが大方の意見だな」
「官渡……曹操が勝った合戦ですな」
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