第二部 一章

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「ならば私が信長の軍に潜伏してみましょうか?」 「馬鹿な!秀満、なにを考えておる?犬死にするつもりか!」 秀満の提言に光秀が顔を真っ青にして反対した。 だがそれを周瑜が遮った。 「呂蒙、控えよ。して、接触してどうする?孫家に寝返るよう内応工作でもするか?」 「いえ。信長は自分が常に頂点にいたい男。人に仕えるようなことはまずあり得ません」 「だが報告を聞く限りでは曹操の配下のようだが?」 「その辺も踏まえて、情報を集め、信長と曹操を切り離すのが目的です」 周瑜と秀満の問答が続く。 他の武将たちは息を飲み、問答の行方を見守っていた。 「ふむ、信長という男の部下であった貴殿ならば容易に潜り込めよう。離反の策試してみる価値はあるな。改めて問う、頼めるか?」 「お任せを。すぐにでも旅立ちます」 秀満は自信ありげな顔つきで周瑜を見据えると、後ろを振り向き、すぐそこに立っている光秀に頭を下げて軍議場を後にした。
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