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光秀は平静を装い、周瑜の言葉に黙って従った。
軍議が終わり、その帰りの道中、一言も発しない光秀に、
「殿!」
と、利三が声を掛ける。
「やむを得まい。儂は孫家に尽くすと孫策殿、呂蒙殿に誓ったのだ。その孫家の宰相である周瑜殿が決断したことだ」
光秀の返答は正論のようで、口が上手くない利三には反論できない。
「ですが、秀満は殿の婿ですぞ」
と、情に訴えかけるも、光秀は声を出さず首を左右に振るだけであった。
すると利三は顔を真っ赤に染め、踵を返すと、秀満の宅の方向へと憤懣やるかたなしといった態度で歩いていった。
光秀はそれを止めることもせず、ただただ淡々と歩いた。
胸中の思いをひた隠しながら冷静に、何事もなかったかのように黙々と家路へと足を運んだ。
「秀満」
八つ当たりするように入口で大きな音を立て、利三が秀満の家へ入る。
「利三、どうした?」
秀満は旅の準備の手を止め、不満げな顔を利三に柔らかく声をかけた。
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