一章

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―妙覚寺― 「信忠様、信忠様。」 村井貞勝(ムライサダカツ)が信忠を呼び起こす。 「貞勝か。」 「はっ、兵の準備整いました。」 「やはりか……」 信忠が呟いた。先日から胸騒ぎが止まらず、貞勝に命じ斥候(セッコウ)をいつもより増やしていたのだ。 「誰か?」 信忠は貞勝に問いただした。 「……惟任日向(コレトウヒュウガ)。」 「おのれ、光秀っ!」 惟任とは光秀の名字であり、世間では明智よりも惟任で通っていた。 信忠は起き上がり甲冑を身に付けながら貞勝に状況を尋ねた。
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