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―妙覚寺―
「信忠様、信忠様。」
村井貞勝(ムライサダカツ)が信忠を呼び起こす。
「貞勝か。」
「はっ、兵の準備整いました。」
「やはりか……」
信忠が呟いた。先日から胸騒ぎが止まらず、貞勝に命じ斥候(セッコウ)をいつもより増やしていたのだ。
「誰か?」
信忠は貞勝に問いただした。
「……惟任日向(コレトウヒュウガ)。」
「おのれ、光秀っ!」
惟任とは光秀の名字であり、世間では明智よりも惟任で通っていた。
信忠は起き上がり甲冑を身に付けながら貞勝に状況を尋ねた。
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