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広大な緑地が続く。黄河は対岸が見えず、まるで海のようだ。
日本に生まれ日本で育った信長たちにはこの風景が珍しく、軍事行動の割りには緊張感の欠けた行軍であった。
(劉備、関羽、張飛か)
三国志演義では言わずと知れた善玉の主役たちである。
まだ見ぬ主役たちの容姿や振る舞いを馬上で想像しながら信長たちは徐州を目指す。
まもなく徐州へとかかろうとする地域でありながら、曹操の政治が行き届いているのか、賊の横行がなく、領民たちがのんびりと過ごしているのが垣間見えた。
ふと気付くと劉岱と王忠の軍が行軍を停めていた。徐州へ入る前の休憩といったところであろう。
信長の下に劉岱からの伝令がやってきた。
軍議したいとのことであった。
信長は了承し、兵を休め、半兵衛と可成を伴い劉岱の陣へ向かった。
「信長殿、ご苦労である」
劉岱は以前、袞州刺史(エンシュウシシ)という州の長官をつとめていて、そのためか自尊心だけはやたらと高く、自分より低い地位の者には上から物を言う……と曹操に聞いていた。
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