一章

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「光忠ぁ!死ねぃ!」 信忠が再び光忠に迫る。 ピュッ! 寸前であった。 秀満の放った矢が信忠の馬に突き刺さった。 馬は立ち上がり信忠を振り落とした。 「光忠殿、下がられぃ!」 秀満が叫ぶと明智兵が光忠の前に立ちはだかった。 信忠はすぐさま立ち上がり、秀満を睨みつけた。 「秀満っ!なぜ裏切るかっ!」 秀満は何も言わず信忠の前の明智兵に指示した。 明智兵が光忠の壁となる。 「うおぉぉぉ!」 一閃。 若獅子が吼える。 明智兵が血飛沫をあげバタバタと倒れていく。 ふいに貞勝が馬を引き近づいてきた。 「信忠様、形勢不利にて最早ここを抜くのは無理でござる。ここは一旦退き二条の兵を回収し、本能寺へ向かいましょう。」 「くそっ……!致し方ない、退くぞ!」 信忠は馬に跨った。 ピュッ! 「信忠様!クッ……」 秀満から再び矢が放たれた。 貞勝がとっさに自身の馬を信忠の馬にぶつけかわした。 矢は貞勝の腿に刺さっている。
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