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そうしている間にも炎は燃え広がり、曹仁軍を徐々に包んでいく。
「退却と言うのがわからんのか!」
曹仁は苛立ち、曹洪は北門へ走りながら退却だ、と怒鳴り散らす。
だが北門に近づくにつれ、外からの喚声や悲鳴が大きくなっていき、城内へ流れ込む兵が増していった。
「今度はなんだ!?」
曹洪が逃げてくる兵長を捕まえ問いただした。
「ち、趙雲の部隊が突如現れ、外の部隊が襲撃を受けております」
兵長の返答に曹洪の顔色が変わる。
曹洪はすぐに馬を飛ばし、曹仁にこのことを報告した。
「またしても、してやられたか」
曹仁は悔しさを表情に滲ませると、近衛兵と曹洪を引き連れ北門へと足を運んだ。
「道を開けよ」
曹仁は群がる兵らに呼びかけ、掻き分け、なんとか城外へと到達する。
外では兵長の言うように、逃げ惑う曹仁軍を趙雲隊が蹴散らしていた。
その趙雲が城門の曹仁に気づく。
「また我らにやられにくるとは殊勝なことであるな。首を置いていくか、尻尾を巻いて逃げ出すか選ばれよ」
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