第二部 七章

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しかし、帰陣した信長は苦虫を噛んだような表情に様変わりした。 曹操の使者により、荊州の全面降伏が伝えられたためである。 これにより信長の荊州に拠点を作り、新たな領地を切り取っていく戦略は灰燼に帰した。 よもや荊州がこれほど早く曹操のものになるとは考えも及ばず、信長は荊州上層部をひたすら貶す。 「信忠様はいかがいたしましょうか」 半兵衛が信長に問う。 仮に何も知らずに信忠が荊州諸城に仕掛ければ、同盟の一方的な破棄や攻撃を受けるなどの何かしらの咎めを受けるであろうことは想像に難しくない。 「進軍を停止させ陣立てさせよ。それから半兵衛と蘭を除き諸将は全て信忠隊に合流。ここにある兵糧も全て持っていけ」 信長の指示が飛ぶ。 「半兵衛と蘭、それに兵らは儂とともに曹操本隊へ祝いを述べに向かう」 信長は続けて命令を下す。 曹操本隊に潜り込み、他意を疑われぬよう演じる必要があると信長は判断した。
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