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曹操は籠を受け取り、中の様子を覗き見る。
鳩よりも幾分小ぶりな鳥がせわしく動き回っていた。
「この鳥が縁起物であると?」
嘴からその中まで真っ赤な鳥は喀血を思わせ、曹操は全く意味がわからず信長に尋ねる。
「いかにも。まあ、これを儂と思い大事にするがよかろう」
今度は信長が意地の悪そうな笑みを浮かべる。
「ほう、信長は不如帰であるか。ならば儂は?」
曹操は信長の心中に探りを入れるべく、食い下がるように質問を続けた。
「そうよな……鶯、といった所か」
曹操の目尻がつり上がる。
信長はそんな曹操を見て見ぬふりをして話し続けた。
「小柄で、洒落ており、歌が上手い。まさに鶯よ」
素直に受け取れば誉め言葉なのだが、信長が口にすると裏がありそうで喜べない。
「ではおぬしは、軽々しく本音を吐かず、腹黒そうに見えるが実は何の魂胆もない、と?」
曹操は激しく動きはするが、鳴き声をあげない不如帰の容姿を信長に喩えてみた。
信長は不敵に笑むのみ。
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