第二部 七章

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曹操は籠を受け取り、中の様子を覗き見る。 鳩よりも幾分小ぶりな鳥がせわしく動き回っていた。 「この鳥が縁起物であると?」 嘴からその中まで真っ赤な鳥は喀血を思わせ、曹操は全く意味がわからず信長に尋ねる。 「いかにも。まあ、これを儂と思い大事にするがよかろう」 今度は信長が意地の悪そうな笑みを浮かべる。 「ほう、信長は不如帰であるか。ならば儂は?」 曹操は信長の心中に探りを入れるべく、食い下がるように質問を続けた。 「そうよな……鶯、といった所か」 曹操の目尻がつり上がる。 信長はそんな曹操を見て見ぬふりをして話し続けた。 「小柄で、洒落ており、歌が上手い。まさに鶯よ」 素直に受け取れば誉め言葉なのだが、信長が口にすると裏がありそうで喜べない。 「ではおぬしは、軽々しく本音を吐かず、腹黒そうに見えるが実は何の魂胆もない、と?」 曹操は激しく動きはするが、鳴き声をあげない不如帰の容姿を信長に喩えてみた。 信長は不敵に笑むのみ。
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