第二部 七章

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喚声が徐々に魏延に近づいてくる。 すると一際身なりの立派な将が魏延の隣まで馬を寄せてきた。 「おぬしも此度の降伏を良しとせぬ者か。ちょうど良い、襄陽を脱出するゆえ力を貸せ」 魏延はこの居丈高な態度の義景に苛ついたが、今は逃げるが先と朝倉軍と共に襄陽を脱出し、荊州南部へと逃走していった。 それから数日が経ち、曹操の本隊と信長が襄陽に到着した。 劉ソウ自らが城外まで曹操を出迎え、地にひれ伏している。 曹操はさも自らの家かのように襄陽城へ入り、はばかることなく城主の座につき、劉ソウを呼びつけた。 つい先日まで座っていた席に平伏する劉ソウは、まだ年若く経験も浅いせいか曹操の威圧感に押され何も話せず、ただひたすら震えているばかりであった。 その様を見た曹操は、毒にも薬にもならぬと劉ソウを青州刺史に任じ、母親の蔡夫人と共に遠ざけた。 次に蔡夫人の兄である蔡瑁を呼ぶ。
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