第二部 七章

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蔡瑁が部下の張允と共に曹操の前に跪く。 曹操は荊州が擁する水軍の規模や装備などの状況を尋ねた。 蔡瑁は勢い良く立ち上がり、誇らしげに水軍の説明をする。 多少は誇張もあるのだろうが、曹操もその規模には驚きを隠せず、同時に劉表の無能さをあざ笑った。 「それだけの水軍力と軍隊を持ちながら荊州の維持のみにこだわっておったとは笑止。官渡の折、許に攻め入れば今頃天下の趨勢は変わっておったろうに」 蔡瑁は今までの威勢が嘘であったように小さく縮こまり、再びひれ伏した。 「そして、それを提案しないとは部下にも恵まれなかったと見える」 曹操は目の前の蔡瑁・張允の他に並んでいる旧劉表家臣団を見下した。 「劉備殿は進言していましたし、我らも乗じましたが取り上げられませんでした」 一人だけ敢然と曹操に刃向かう。 「おぬしは?」 「カイ越」 名指しされた男は臆することなく威風堂々と対峙する。
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