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「承知した。信忠の部隊には江夏の劉キの牽制をさせておる」
信長は素っ気なさを前面に押し出し、情勢を判断した上で口から出任せを吐き出した。
「そうか。信忠にも劉備追討に加わって欲しかったのだがな」
曹操は信長から目を逸らすことなく、言葉ほど残念とは思っていない態度を取っている。
「今から呼び寄せたとて到底間に合うまい。劉備の唯一の味方となり得る劉キを警戒させておけば良かろう」
曹操は突如相好を崩し、
「まさにその通りであるな。さすがは信長。先の先まで読む見事な采配ぶりよ」
と、曹操には珍しく褒め倒した。
だが、信長は相も変わらず仏頂面でその場を去っていった。
「あくまでも本音を隠し通すか」
曹操は信長が去ると、楽しげに許チョに語りかけた。
許チョはわけもわからず、はぁ、とだけ答える。
「虎豹騎に、信長に随伴せよと伝えておけ。それから、おかしな動きがないか逐一報告せよ、ともな」
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