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半兵衛と信長の考えは大まかながら一致していた。
「承知。信忠殿に使者を送っておきます」
半兵衛はその場を離れ、こっそりと書をしたためた。
そして曹純が信長の下を訪ねてくると、信長は虎豹騎の面々と親交を持ちたいと半ば強制的に部隊ごと合流させた。
曹純は最初迷惑そうな顔をしていたが、身近に信長本人がいることになり、敢えて動向を窺わずとも良いため、信長隊を受け入れた。
その際のちょっとした混乱に乗じ、使者は部隊を離れ、信忠のいる江夏方面へと姿を消した。
江夏の信忠隊は、信長と別れた将や物資と無事合流することができ、微かに江夏城を望む地で陣を構えていた。
「さてどうしたものか」
信長には進軍の停止を命じられており、それ以来使者や伝言は一切ない。
だが、配下の兵数名を江夏に潜り込ますことに成功しており、城内の様子は熟知していた。
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