第二部 七章

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「しかし道三殿、秀満。影ながら劉備に味方し……とはいかがすれば良いのだろうか」 信忠は道三と秀満に相談を持ちかけた。 「江夏城を我らが預かるというのはいかがか?」 道三が突拍子もないことをぼそっと口にした。 信長軍は曹操の同盟国として劉備・劉キとは完全に敵対である。 いかに信長が味方せよと言ったとはいえ、はいそうですか、とはいかないであろうことは子供でも理解できそうなことである。 信忠と秀満が怪訝そうな顔を道三に向けていると、 「儂に任せてもらえるかの?」 と、道三がにんまりと顔をしわくちゃにした。 信忠と秀満は顔を見合わせたが、蝮と呼ばれるほど狡猾な知将が自信ありげに語るのである、任せてみても良いのではないかという気になった。 信忠が承諾するとすぐに道三は供も連れずに、ぶらりと散歩にでも行くように江夏城へと発っていった。
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