第二部 七章

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と、関羽に丁寧に説明をする。 劉キや関羽麾下の将たちは信用に値しないと聞く耳持たずであったが、関羽だけはあっさりと応じた。 皆が諫めるが、裏切られたら力で取り戻せば良いと取り合わない。 道三は深々と頭を下げ、礼を言い、また江夏の死守を固く約束した。 「だが、この話は他言無用にて願う。もし話せば江夏の守備と劉備殿の退路確保の約束は反故にいたす」 曹操方に漏れては水泡に帰すため、道三はその場の者全てに、脅迫を交えて口止めを乞うた。 その冷たい瞳は渾名が示す通りであり、関羽や他の豪胆な者以外は、恐怖に縛られ思うように身動きできないでいた。 翌日。 朝早くから城内は騒々しく、間もなく諸葛亮が江夏に到着した。 城主である劉キはその座を譲り、関羽ですら直立不動の姿勢を崩さない。 道三はその関羽の隣に並び、 「あの若者が諸葛亮という軍師か?」 と、尋ねた。
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