第二部 七章

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渋い表情で軽く横に首を振る半兵衛とは対照的に、曹純の目は決意に満ちていた。 「我らが道を切り開きましょう」 「敢えて汚名を被るつもりか?」 並々ならぬ曹純の意志に、半兵衛は止めることを躊躇い口を閉ざす。 代わりに信長が曹純に虎豹騎の名を汚すことになる覚悟の程を尋ねた。 曹純は爛々と瞳を輝かせ、力強く頷くと、踵を返し颯爽と立ち去っていく。 その背を信長も半兵衛もただ静かに見送った。 ほどなくして信長隊の脇を、曹純を先頭に虎豹騎隊が駆け抜けていった。 前方の夏侯惇と張遼も曹純の決意を知ってか知らずか道を開けて虎豹騎隊を通す。 「民草共、道を開けよ!邪魔する者は容赦せぬぞ」 優男の風貌の曹純が鬼面で怒鳴り散らす。 部下らも一斉に武器を振り回し、喚きたて民衆らを脅す。 動くことのできる民衆は家財道具などを投げ捨て道の脇に逸れ、動くことのできない者はその場にへたり込み、ある者は馬に跳ねられ、またある者は斬り捨てられるという阿鼻叫喚の地獄が始まりを告げた。
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