第二部 七章

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曹純の進撃には夏侯惇と張遼の部隊も続いた。 北方異民族である烏丸族の騎馬隊を擁する張遼隊は民衆の恐怖心を大いに煽る。 夏侯惇も隻眼の鬼将と、その名は荊州に轟いており、眼帯をしている将を見かけた民衆は腰を抜かしたり逃げ惑った。 夏侯惇と張遼の参戦により、崩れかけていた民衆の隊列は完全に崩壊した。 民衆という壁がなくなった余波は劉備軍にも広がる。 諸将ははぐれ、劉備は妻子をも捨て逃げ出さざるを得なかった。 趙雲は劉備の逃走を見届けると、劉備の妻子らを救うため馬首を返し曹軍の中へと単騎突入していく。 そして張飛は有志を募り、長坂橋にて曹軍を防ぐべく仁王立ちして味方の敗走を助けていた。 「早く殿の妻子を見つけねば」 趙雲は行く先々で死傷した民衆を目にし義憤にかられていたが、感情を抑え劉備夫人を探してかけずり回る。 「敵将だ!」 名のある将軍を発見すると見るや、曹軍の兵が恩賞を求めて殺伐とした気を発しながら群がってくる。
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