第二部 七章

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張南は斧を振りかぶり趙雲に飛びかかる。 しかし、力量の差は歴然としていた。 飛び込んでくる張南の斧を悠々とかわし、槍の柄で無防備な張南の後頭部を打ちつけた。 張南はそのまま地にうつ伏せとなり、気を失ったのかぴくりとも動かない。 趙雲はとどめを刺すべく槍で張南の心臓を突こうとした。 その矢先、数本の矢が趙雲を襲う。 趙雲は矢を槍で撃ち落とし、放たれた方に鋭い眼を向けた。 矢を放った男は弓を投げ捨て、力強く長刀を振り回して趙雲に近寄る。 「これは思わぬ大将首よ」 「高覧か」 二人は袁紹陣営での同僚であったが、趙雲は高覧の鼻持ちならぬ態度を嫌い、また高覧も趙雲の生真面目で融通の利かない性格を忌み嫌っていた。 「久しいな、趙雲」 高覧は卑下た笑みを趙雲に向けた。 「あれほど持ち上げていた袁紹をあっさりと裏切り、仇敵の駒になるとは節操のないことよ」 「曹操様に降らざるを得なくしたのは袁紹だ。しかし相変わらず堅苦しい奴だ」
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