第二部 七章

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高覧は地面に唾を吐き、嫌悪の情を露わにする。 そうかと思うといやらしい笑みを浮かべ、奇声とも言えるような声を上げ笑い始めた。 「気でも触れたか」 「いいや。憎たらしいお前の首をこの手で掻き切り、四肢を存分に切り刻めるかと思うと笑いが止まらんのだ」 「くだらない冗談だ 。貴様程度の武で我に……!」 趙雲が話している最中、高覧が武器を持つ右手を掲げる。 すると、趙雲の左右後方から高覧隊の兵が現れ、放射状に取り囲み弓を構えた。 「伏兵に気づかぬとはな。よほど儂の挑発が効いたようだな」 高覧が不敵に笑む。 趙雲は舌打ちし横目に周囲を見渡した。 弓矢の向きはしっかりと趙雲を狙っているようで、さすがに全てを避けることは出来そうにない。 卑しく頬を歪める高覧が右手を振り下ろす。 だが矢は飛んでこず、兵たちの断末魔が 趙雲の耳に入ってきた。 「趙雲、高覧を討てぃ」 趙雲は後ろを振り向くことなく高覧へ駆け寄り、心臓をひと突きにした。
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