第二部 七章

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糜竺を乗せているにも関わらず趙雲の槍さばきは益々冴え渡る。 まるで何事もなかったかのように敵兵の群れを突き崩し、趙雲どころか糜竺も無傷のまま張飛の所まで送り届けた。 張飛は長年の戦友糜竺の生還を背中を叩きあって喜び、劉備の居場所を告げて向かわせた。 趙雲は再び曹軍の中に飛び込み、夫人たちを探し回った。 途中途中で生き延びている民衆から夫人たちの手がかりを尋ね、ようやく車輪が折れ、横倒れになっている御車を発見した。 御車の中は荒れていて、宝石などはすでに持ち去られている。 幸いにも血痕などは見当たらないため、生きている可能性は少なくない。 趙雲が近場を捜索していると、蘭丸の部隊に出くわした。 蘭丸も趙雲を探していたと言い、甘夫人は保護していて必ず丁重に送り届けることを約束した。 趙雲はその言葉を信じ、残る糜夫人と阿斗の捜索に移った。 糜夫人は懐に阿斗を抱え、徐庶の護衛の下、小さな小屋に身を隠していた。
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