第二部 七章

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趙雲が名乗りを上げると同時に、複数の兵が突き倒された。 神速とも思えるほどの槍さばきは夏侯恩も兵も見極めることができない。 「糜夫人と阿斗様に手をかけた以上、生きてこの地を離れること決して叶わぬと思え」 激した趙雲の気迫に兵たちは次々腰を抜かす。 大将の夏侯恩も震える手足を抑えつけ、どうにか趙雲と対峙できている始末。 だが趙雲は一切手加減などしない。 逃げようが、土下座しようが、武器を捨て手を上げようが容赦なく斬って捨てた。 夏侯恩が尻込み、後ずさりする。 「おぬしが最後だ」 夏侯恩は部隊が全滅していることを趙雲に聞かされて初めて知った。 そして足が竦み腰が抜けたのか、その場に尻餅をつく。 「立派なのは格好だけか」 趙雲がにじり寄ると、夏侯恩は声にならぬ奇声をあげた。 情けない、と趙雲は首を横に振り夏侯恩の胸を貫いた。 悶え苦しむ夏侯恩の手から宝剣がこぼれ落ちる。 趙雲はその剣を拾い上げるとまじまじと見つめた。
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