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「敵が集まってきます。早く」
それでも趙雲は見捨てることができなかった。
糜夫人を無理やり担ぎ上げ、馬の背に乗せ走りだした。
ややもすると趙雲の姿を見かけた曹兵たちが集まり追ってくる。
「貴様が趙雲か。この晏明の鉄槌受けてみよ」
「我ら鐘兄弟の連携技にて貴君の首頂く」
「淳于導参る」
更に将校も次々集まり、趙雲に挑んでくる。
趙雲はなるべく戦闘を避けて逃げていた。
「趙雲殿、やはり私は足手まとい。和子と趙雲殿を失っては玄徳様に申し訳が立ちませぬ」
趙雲の背後からか細い声が聞こえてきたかと思った次の瞬間、どさっと鈍い音がし、馬の走りが軽くなった。
趙雲が振り返ると、糜夫人が地に倒れている。
そこへ曹兵が群がる。
「奥方様!」
趙雲は馬首を返して、群がる兵を蹴散らした。
「今だ、かかれ!」
趙雲の左腕に鐘縉の放った鎖が巻きつく。
そこへ鐘紳が斬りかかる。
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