第二部 七章

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「敵が集まってきます。早く」 それでも趙雲は見捨てることができなかった。 糜夫人を無理やり担ぎ上げ、馬の背に乗せ走りだした。 ややもすると趙雲の姿を見かけた曹兵たちが集まり追ってくる。 「貴様が趙雲か。この晏明の鉄槌受けてみよ」 「我ら鐘兄弟の連携技にて貴君の首頂く」 「淳于導参る」 更に将校も次々集まり、趙雲に挑んでくる。 趙雲はなるべく戦闘を避けて逃げていた。 「趙雲殿、やはり私は足手まとい。和子と趙雲殿を失っては玄徳様に申し訳が立ちませぬ」 趙雲の背後からか細い声が聞こえてきたかと思った次の瞬間、どさっと鈍い音がし、馬の走りが軽くなった。 趙雲が振り返ると、糜夫人が地に倒れている。 そこへ曹兵が群がる。 「奥方様!」 趙雲は馬首を返して、群がる兵を蹴散らした。 「今だ、かかれ!」 趙雲の左腕に鐘縉の放った鎖が巻きつく。 そこへ鐘紳が斬りかかる。
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