第二部 七章

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晏明は力が有り余っているのか、所々に棘のある鉄槌を、轟音を唸らせて振り回す。 趙雲は全速力で晏明との距離を詰める。 糜夫人が背後に横たわったままでは、晏明の鉄槌をかわすことができないためだ。 晏明は間合いに入ってくる趙雲に鉄槌を振り下ろした。 趙雲は容易く左に避けかわしたが、重力による加速も加わり破壊力が倍増でもしているのか、鉄槌の一撃は地面をえぐり取った。 趙雲は晏明の右横合いから再度距離を詰める。 晏明はまたしても鉄槌を大きく振りかぶり、今後こそ趙雲を叩き潰さんと左袈裟に振りおろす。 趙雲は隙のできた右懐に潜り込み、晏明の左腕を斬りつけた。 晏明の左腕は見事に断たれ、力の制御を失った鉄槌の勢いに晏明は体を取られた。 眼前で体勢を崩した者など赤子の首を捻るより容易い、とばかりに一閃剣光を煌めかせると晏明の首は宙を舞った。 首を失った晏明の胴体は鉄槌に振り回され回転し、地に倒れ込んだ。
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