第二部 七章

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前方では淳于導隊の兵がばたばたと倒れていく。 「なんだ?飛刀か!?」 趙雲が後ろを振り向く。 そこには小柄な老人が静かに佇んでおり、趙雲と目が合うと微笑みを向けた。 足下には糜夫人が横たわっている。 「心配いたすな。この婦人には怪我一つ負わさぬよ。それより……」 老人は小さな包み紙を趙雲に放る。 「解毒剤じゃよ、よく噛むと良い」 趙雲は包み紙を掴み取り、一瞬躊躇ったがひと思いに口に含んだ。 老人は顔をしわくちゃにし、うんうんと頷いた。 「直に効いてこよう。それまでは援護してやるでな」 趙雲の頭上から十数の黒づくめの者たちが現れた。 短めの剣を刃を下に向け両手に持ち、腰を低く身構えている。 「さあ、者ども。この義人を救い、敵を殲滅せい」 老人の指示が飛ぶと、黒づくめの者たちは宙を滑るような早さで淳于導隊に斬り込んだ。 「なんという早さか!」 と、趙雲ですら目を見張る。 そして誰一人欠けることなく、瞬く間に淳于導隊を殲滅した。
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