第二部 七章

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だが黒装束の集団は警戒を解かない。 「まだ来るか?」 集団を纏めているらしき男がこくりと頷き、隣にいる者に目で合図をする。 合図を出された者は人間離れした跳躍をし、あっという間に姿を消した。 緊張感が漂う中、先ほどの男が音もなく帰還し、老人に報告をする。 「なに?……信長だと?」 微かな声の中に信長という名を耳にした趙雲が老人に詰め寄り、信長のことを知っているのかと尋ねた。 「奴は我々の仇敵。決して忘れることなどできん」 悲壮さの中にも鬼気迫るものを感じ、それは趙雲の肌をざわつかすほどであった。 「さて、そろそろおぬしの体も大丈夫じゃろう。皆の者、退くぞ」 老人の命令に黒装束の者たちが姿を消す。 「お待ちくだされ!」 趙雲はまだ礼もしておらぬと、老人を引き止めたがいつの間にかその姿は見えなくなっていた。 それからほどなく、信長隊の兵が趙雲らの前に現れた。
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