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そこへ夏侯恩の部隊の者が徐庶を連れてきた。
曹操は溺愛する夏侯恩が功をあげたことを手放しで喜んだ。
「徐庶、よくぞ参ったな」
笑顔の曹操に対し徐庶の表情は固い。
「まあ良い。徐庶、これより我が軍を無人の野を行くがごとく突破している者を見に行く。ついて参れ」
曹操は徐庶の意見など全く聞かず強引に自分の後ろに乗せて連れていった。
「丞相、なぜここに」
曹操の向かった先には夏侯惇が陣を敷いていた。
「おぬしらがてこずっておるという勇士を見てみたくてな」
「そうか。で、後ろの御仁は?」
「彼は徐庶だ。夏侯恩の手柄よ。それよりも勇士の下へ案内せい」
夏侯惇は曹操と徐庶を引き連れ小高い丘へと登っていった。
あそこだ、と夏侯惇が指を差す。
そこには確かに孤軍奮闘している一人の猛将がいた。
「徐庶、あの者は?」
徐庶は何も答えない。
「趙雲だ」
代わりに夏侯惇が口を開いた。
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