31133人が本棚に入れています
本棚に追加
その頃信長は江陵に向けて軍を進めていた。
しばらくは長坂橋にとどまっていたのだが、虎豹騎と共に先行する蘭丸からの使者が到着し、江陵への道を鮮明に知らせてくれたためである。
他には劉備の娘二人を捕らえていることも信長に伝えられた。
信長はその二姫をうまく引き取れれば、さらに劉備へ恩を売ることができるであろう、とほくそ笑む。
だがしばらく進むと暴走とも言えるような速度で、二騎の曹兵が追走してきた。
「信長殿、どちらへ向かわれるのですか?丞相が探しておられますが」
追いついた内の一人が息も切れ切れに信長に問う。
「江陵へ向かおうと思ってな。聞けば江陵は荊州の補給基地らしいではないか。如何に精強な虎豹騎と言えど、あの兵力では心許ない」
信長が早口でまくし立てる。
「しかし丞相が呼べと……」
「今は軍事作戦中ぞ、後にせい。と曹操へ伝えよ」
信長は使者が話し終える前に己の意向を使者に告げ追い返した。
最初のコメントを投稿しよう!