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「ふん、曹操め。疑心暗鬼になっておるようだな。次はおそらく曹操本人が来るぞ」
誰に話しかけるでもなく、大きな声で信長が呟いた。
「ですが、限度を考えないと事を起こす前に粛正されかねませんぞ」
信長の声に反応して半兵衛が意見する。
確かにそれもそうだな、と信長は案じ、半兵衛と部隊を分けることにした。
半兵衛は蘭丸と合流させ、信長本人と数百の兵は曹操の下へ戻る算段である。
この案は危険すぎないか、と半兵衛が反対する。
「なに、心配はいらぬ。だがもし儂に何かあったら信忠を盛り上げよ」
信長は冗談ぽく笑い、半兵衛を江陵へ向かわせた。
のんびりと部隊を連れ引き返していると、信長の言った通り曹操自らがやって来た。
「そんな血相でいかがした?」
信長は気さくに曹操に話し掛けた。
「何をしておるのだ?」
対照的に曹操の声は怒りを抑えているのか、低くくぐもっていた。
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