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「何を?虎豹騎の兵力では江陵を守るには不足であろう。それを与力してやるべく動いていたが、気に食わぬことでもあったか?」
事実、虎豹騎は曹操の親衛騎馬隊であり、各々の戦闘能力は高くても兵力自体は数百といった規模である。
「それとも我らが劉備方への寝返りを考えているとでも思ったか?」
信長がたたみかける。
表情は真剣そのもので話し方にも不自然さはない。
本心を見抜かれそうななったりやましい気持ちがあれば、いやにへりくだったり口調に怒りが混じったりしがちだが、信長にはそれがない。
むしろ凛とした口調で、その瞳は曹操の目をしっかりと捉えている。
しかし、その凛然とした態度が曹操には逆に何かを隠しているように思えてならない。
曹操はなんとか突破口を見つけようと信長の一言一句から目の動きまで思い返してみたが、信長もさる者、尻尾の先すら見せない。
「もう良いか?」
曹操が舌打ちをし、信長はそれを諦めの合図と受け取った。
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