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日常…sideR…
放課後、人気のない屋上。
風の吹く音がする以外は静かなこの場所に、俺は今呼び出されている。
や、別に、怖~い上級生から呼び出されているわけでも、
ヤンキーに呼び出されてわけでもねーよ?
まぁ…後残ってる呼び出しの理由っつったらアレだろ。
「あの……怜くん。」
そう声をかけられて、俺は後ろを振り向く。
そこには、頬を赤くして視線を若干下にして立っている女子がいた。
周りに他の女子がいないところを見ると、今回は面倒なことにならないで済みそうだ。
「俺のこと呼び出したのって、アンタ?」
聞くまでもないことだけど、一応確認のために聞く。
目の前の女子は、こくりと頷いた。
「えっと……この手紙に書いてある、話したいことって、何?」
これも、もうわかりきってることだけど……。
さっきよりもますます顔を赤くした女子が、ゆっくりと顔を上げる。
結構大人しそうな感じの、可愛い顔立ちをしていた。
「……ずっと前から、怜くんのことが好きでした…!私と、付き合って下さい。」
顔を真っ赤にしながらも、俺のほうを真っ直ぐと見て、その女子は言った。
言い終わったあとすぐに、また俯いてしまったが。
俺は一呼吸置いた後、口を開いた。
「悪ィ、気持ちは嬉しいんだけど、俺、今誰とも付き合う気ねぇから。」
そう俺が言うと、女子はビクッと肩を震わせた。
体が震えてきたということは、たぶん泣いているんだろう。
少しの間沈黙した後、その女子は小さな声でわかりました、と呟いた後、
背を向けて走り去っていった。
俺は、ふぅ、と大きなため息を吐いた。
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