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「麻倉は進路どうするか決まったか?」
『んー...それがまだ何も考えてないんですよ~~』
夏休み前の個人面談。
ウチの学校は進学校。高校入学した時点からイィトコの大学目指して頑張ってる子もいるほど。
進路、聞かれるだろうとは思ってたけど...
ホントに何も思いつかない。
「もうだいぶ高校生活慣れてきた頃だろうし、そろそろ自分の目指す道考えていけよ。」
『...はぁーぃ』
進路かぁ...
あたし何になりたいんだろ?
...特になんもないやー。
“人並みに働いて
人並みに稼いで
平凡に過ごせたらいいです。”
...なんて、こんな事先生に言ったら怒られるだろうなっ。
あたしは何気なく毎日を過ごしてた。
日々、平凡に淡々と。
応用クラスに入れたのはいいけど、その先の大学の事なんて考えてなかったし
ましてや将来の夢なんて以っての外。
...ダメだぁ。
いくら考えても思いつかないものは思いつかない。
とにかく今は、夏休み中にある模試の勉強しないと!
────ズキン
痛...。
下腹部が痛みだした。
あたしはイヤな事があるといつもこう。
試験の前
発表の前
何か自分にプレッシャーの感じる事があれば、決まってお腹が痛くなる。
別にそんな神経質な性格じゃないのに。
───『緊張するとお腹が痛くなる』
中学の時から続いていたそれは、これから起こる事の兆しだったんだと思う。
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