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分娩室のドアの「手術中」のランプが赤く点灯した。雨はいつの間にか豪雨となっていて時計の針は2時を指していた。静かすぎる病棟内ではチクタクと刻む時計の音と不気味な電子音だけが小さく鳴り響いていた。その音の中でレオナルドはうつむきながら、待合いの長イスの横でじっと立ち尽くしていた。
その静寂を突き破るかの様に、かすかにドアの向こうで産声が聞こえた気がした。ハッとなってレオナルドはドアに駆け寄り、分娩室のドアを開けようとしたのだが、ドアノブをガチャガチャと動かしてもドアは開こうとしなかった。
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