冷たい雨

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「無事なんだろうか…。」 サーサーと廊下の窓にうちつける雨。レオナルドは窓に反射して映る、ひどくやつれた自分を見ていつにない不安を覚えた。 ため息を三回ほど漏らした時だった。「手術中」のランプが消え、ガチャッと鍵の外れる音がした。その時、一瞬辺りが真っ白に光ったと思うと、かなり近い場所で轟音とともに落雷が起きた。 ドアは開いたのだが、誰も出てくる気配はない。…しばらくして出てきたのは、冬だというのに汗だくになった主治医だけだった。 「ご主人…。手術は終わりました。中まで入っていただけますか」
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