オープニング

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「月が嫌な色だ。」 少女はふっとため息をつく。 脇に控えていた青年が不思議そうに首を傾げた。 「特に…いつもと同じ気がするけど?」 「ばかだなぁー、そーゆう事を言ったんじゃないよ。」 呆れたように少女はもう一度ため息をついた。 青年は困ったようにもう一度月を眺めた。空に浮かぶ青と黄金の月。双子の月は仲良く空を支配している。 「何か、嫌な予感がするよ。」 「…その割には、たのしそうだけど?」 「そう見えるだけだよ。」 そう言う少女は心底楽しそうに笑いながら月を眺めていた。 昔から変わることのない探求心と無邪気さを剥き出しにして、少女はこちらを振り返る。 「ほら、言ってるそばから始まったよ!」 少女の指差す月に目を移すと、有り得ない事が起きていた。 時計を無理矢理回すように、月が急速に重なり始める。 重なった場所は、血でも垂らしたのか真っ赤に染まり、声を発する前に、双月は1つの月となった。
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