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誰もいない廊下というものは、実に寂しい場所だ。
始業ベルがとうに鳴っている時間なので、当たり前ではあるが、何とも変な気分だ。
自分の靴音だけが廊下にこだまし、教室からは教師の声がぶつぶつと念仏のように聞こえてくる。
「…くそ、やってらんねぇ。」
廊下を足早に歩き、たどり着いた先は玄関。
教室とは真逆である。
「ったく、かったりぃ。」
我ながら口を開けば文句ばかり。言ってなければ気が収まらないのだから仕方あるまい。
俺こと、黒森裕弥は4月に公立柏木高校に入学したばかりのピカピカの一年生。
…のはずだったのだが、どうやら俺の事が気にくわない先輩方のせいで、入学式早々停学。
さらにその間に起こした地元の連中とのいざこざに巻き込まれ追加で停学。
どれも正当防衛なのに、教師はまったく話をきいてくれなかった。
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