第一章 白の来訪者

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世の中の理不尽に耐え、晴れて今日、1ヶ月ぶりに学校に登校してみれば、入学式の日に病院送りにした先輩達の待ち伏せにあい、思わず…──そう、正当防衛で、手を出してしまい校長室へと呼び出し。 告げられた退学…──。 その二文字が頭の中を引っ掻き回す。 思えば、中学での自己中心的な横暴な振る舞いを改めるべく、一生懸命勉強し、ぎりぎりで合格したこの高校で、人生やり直そうと考えていたのだ。 「人生そんなに甘くねぇってかぁ!?」 ガゴォッ! 思わず拳に力が入り、靴を入れる為のロッカーを殴りつけてしまった。 べしゃりと凹んでしまったロッカーはどうみたって修復不可能である。 「…───ま、いっか。」 どうせ、もう縁もない学校だ。ロッカー1つでガタガタ言われる筋合いもないだろう。 「…はぁ…帰ろう。」 ヘし曲がったロッカーを無理矢理こじ開け、ローファーに履き替えた。何も入ってない鞄に中履きを押し込み、玄関を後にした。
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