第一章 白の来訪者

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校庭を横断し、正門までいきつくと生活指導の先生か、厳つい上下ジャージ姿の男が立っていた。 「何してんだ。早退か?」 「退学だよ。」 質問に即答し、さっさと正門を後にする。 会ったこともない先生だ、きっと訳もわからず動揺したのだろう、何かを言っている。 裕弥は特に気にも止めずに、振り返ることもなく商店街へ足を向けた。 「…何をすればいいやら…。」 人がまばらな商店街を1人とぼとぼ歩きながら、駅を目指す。 電車を乗り継いで、どこか遠くにでも行こうかと思いついたが、今はそんな気分ではないし、金がない。 結局、考えはまとまらずに駅についてしまい、定期を改札に通し、ホームで電車を待った。 "定期も解約しなくちゃならねぇか" 頭の中で色々考えてみる。こうしていないと、今にも駄目になってしまいそうだった。
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