そのハンドルネーム

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先程の電話の内容を何度も頭の中で反芻させる。 (『愛美だ!』) 彼は電話でそう叫んだ。そして、 (『隣りの山だ!……館は既に全滅だ! そっちへ向かってくれ』) とも。 IPから割り出したのか、それとも砂丘の携帯のGPSか。まどかには判別できなかったが、それはすぐに頭の中から、消し飛んだ。思った以上にその内容が衝撃的だった。 (……全滅……って) 確かに彼はそう言った。それは……どういう事だろう。連絡のつかない旅行に行った6人。 写真の中の彼女の笑顔。 細い腕、小さな身体。 彼女が……一体……何を? その全滅の場に居合わせたであろう彼女は、どうして隣りの山に? 未だにイマイチ信じられない。 (あの人、何か勘違いしてるんじゃないの?) 先程、電話を架けてきた声の主の顔がまどかの頭に浮かび上がる。
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