4618人が本棚に入れています
本棚に追加
/586ページ
先程の電話の内容を何度も頭の中で反芻させる。
(『愛美だ!』)
彼は電話でそう叫んだ。そして、
(『隣りの山だ!……館は既に全滅だ! そっちへ向かってくれ』)
とも。
IPから割り出したのか、それとも砂丘の携帯のGPSか。まどかには判別できなかったが、それはすぐに頭の中から、消し飛んだ。思った以上にその内容が衝撃的だった。
(……全滅……って)
確かに彼はそう言った。それは……どういう事だろう。連絡のつかない旅行に行った6人。
写真の中の彼女の笑顔。
細い腕、小さな身体。
彼女が……一体……何を?
その全滅の場に居合わせたであろう彼女は、どうして隣りの山に?
未だにイマイチ信じられない。
(あの人、何か勘違いしてるんじゃないの?)
先程、電話を架けてきた声の主の顔がまどかの頭に浮かび上がる。
最初のコメントを投稿しよう!