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深い山の中を2台のタクシーがゆっくりとジグザグ登って行く。
未だ紅葉さえしないその山は昼なお暗く、途切れる様子を見せない。変わり映えしない景色。
すれ違う車すら、ない。
「そりゃあすれ違いませんよ、この先は行き止まりだからね」
誰かが漏らした感想に、タクシーのドライバーがそう言って苦笑する。
前を走るタクシーには3人、そしてその後ろをぴったりと追いかけるタクシーにも3人の乗客を乗せている。
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