序章

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『“砂丘”さんが貴方をプライベートチャットに誘っています』 『許可しますか?』 『許可』・『不許可』 (ああ、なるほど。裏か) カーソルを『許可』に合わせてクリックする。 その小さなウィンドウの中もチャカチャカと動き出す。 『砂丘: お疲れ。今みんなで旅行の話してるヨン。砂丘が行けなかったこの間のオフの宴会写真も見せてもらってるとこ! 気が向いたら099番へGO!』 ……このメッセージがなかったら。 ……099番の部屋に行かなかったら。 きっと彼等も悪夢を見る事はなかっただろうに。 でも、もう、遅い。 メインのウィンドウはそのままにプライベートの方だけを閉じて、新しくログイン画面に飛ぶ。 『チャットルーム:099』 『この部屋に入室しますか?』 『はい』・『いいえ』 一瞬だけ真っ暗になった画面に、初めて部屋の明かりさえ点けていなかった事に気付いた。
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