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(じゃあ、一体……何? さっき見えた赤い色は!)
一本道だ。
あのキャンプ場の小屋まで、山のふもとから続く道があるだけ。夏場は親子連れの観光客で車通りも多いと聞いたが、今はシーズンオフ、一台も車は通らない。
……そして一本道に信号機は必要ない。そして信号機があるはずの、一般道に面したコンビニの看板はまだ、かなり先だ。
……慌てて、速度を落とす。
(赤い……信号機じゃない……赤い……)
彼女は握り締めた拳で力任せにハンドルを叩く……。
まどかは意味も無く、窓にずっと視線を注いでいた。
車は暗い山道に入っていく。ずっと一本道だ。情報に寄れば、目指す目的地はもう少し先のはずだ。
後ろに何台も車が繋がって、まどかたち、二人の乗る車を追いかける。ふもとに出る道はもちろん、更に沢山のパトカーが固めていた。
彼女の手の中には、硬く握られた写真。彼女の視線は先程まで、その中で笑う、一人の女性に注がれていた。
(……5人……いや、最初のも入れて6人か)
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