春の始まり

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「お前って、その程度の人間だったんだな。 がっかりした ―もう別れよう。」 まだ空気の冷たい4月の朝 木陰の下に寝そべっていた 吉崎美里(ヨシザキミサト)は目を開けた。 場所は自身が通う学校の体育館裏。 彼女の腕時計が8時を少し回ったあたりから 近くの駐輪場が騒がしくなってきた。 自転車が停められる音や 生徒たちのたわいのない朝の挨拶 そんな何気ない空気を感じながら 美里は独りで呟いた。 「…今日から私も、普通組か―」 .
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