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ドクオは今、無法地帯ヴィップへ向かう汽車に揺られている。
移りゆく車窓を見ながら考えていたのは、昨日のことであった。
…………
帝国……
沢山の人が歩道を行き来し、道路では大量の排気ガスを吐き出すトラックが狭そうに行き来している。ドクオが住んでいる小さな田舎町とは比べものにならないほどの大都会だ
('Α`)「ん? ここか…」
大きな道路から一歩裏道に入ると、人もまばらで身なりもぼろを着ている人だらけだ。そんな一角にある寂れた酒場。ここに依頼人がいるらしい
('Α`)(帝国の依頼ってことは、帝国の人間なんだろうが。なぜこんなところで……)
重く、軋んだ音を立てて扉を開くと、黴臭さと共に湿気を含んだ風が顔にかかる。湿った、不快な空気
暗い店内は昼間だというのにまるで夕方のような暗さだ。
('Α`)(バーボンハウスとはえらい違いだな…)
奥へ進むと深々と帽子を被った人間が暗い店内に浮かび上がってきた
( ω )「やあ待ってましたよハンターさん。さ、こちらへ」
足が今にも折れそうな椅子に腰掛け、眼前の人物を見る。目深にかぶった帽子と店内の暗さで顔の下半分しか見えない。口周りの皺の無さと声色から辛うじて若者であろうとわかる。
('Α`)「あんたが依頼人か。俺はドクオ、名前は?」
( ω )「…ホライ、と名乗っておきましょう」
そう名乗った青年は足元にある鈍色のアタッシュケースを黴の生えた机に乱暴に置き、中から紙束を引っ張り出した。
( ω )「今日あなたに請け負ってほしいのはある人物の救助です」
ホライは書類をパラパラと捲りながら呟くように続ける。
( ω )「場所はヴィップ。その人はある無法者達に監禁されている可能性が高い、場所はここです…」
そう言ってドクオに地図を渡す。ヴィップの周辺地図であろう。小さなビルに赤色でバツがしてある
( ω )「我が国の密偵によると、無法者共はここに潜伏している可能性が高いみたいです」
('Α`)「うむ……もし、その無法者共が抵抗してきた場合は?」
……無言。どうやら手段は問わないらしい
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