始動

1/3
74人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ

始動

総ては此処から始まった。 19XX年、イタリアの首都ローマにあるバチカン市国。 殆どが聖職者の住居が建ち並ぶ風景が見える。 古い古文書を片づけていた若い10代の修道士がいた。 ふと、一冊の黒ずんだ表紙の本を手に取って中身を覗いて見た。 内容は過去に世紀末毎に出没する悪魔との戦いを記録したものだった。 しかし、最後辺りに予言とも言える文章を見つけた。 19XX年、 神と悪魔の力を持つ赤子が生まれる。名をテーナとつけられ女が生まれるだろう…悪魔はその子を手に入れて、世界征服を企むだろう…と記されていた。しかしこの修道士はその事など知らないので気にもとめずに片付けた。 それから数年が流れて…ノストラダムスの予言で有名になった世紀末を迎えた。 ローマより遥かに離れた小さな田舎町ではミレニアムに結婚を挙げる予定の恋人がいた。 恥ずかしがり屋の男の隣には村一番の美人と呼ばれるテーナがいた。 村人や子供達に優しく、皆に祝福される式を挙げる予定なのだ。 テーナはこの村に生まれ育ったが悪魔の花嫁になるなど知らなかった。 だが、村一番の評判良い占い師に未来を占って貰い、テーナは世界を滅ぼす存在とされてしまい魔除けなどをして時と共に噂はいつしか消えていた。 安心していたある日の事両親の元に1羽のカラスが現れた。 「お前の娘が我が主に嫁ぐ日は近い」 すると、鳴き声をあげて目の前に降り立つと人間の言葉を話して消えるように姿を消してしまった。 不安を抱えたテーナの両親は町に在る協会へ相談に行くことにした。協会にはこの代々エクソシストと呼ばれる悪魔払いを営む父子が暮らしている。 高齢の父と若い息子イリスは名の知られた人物だった。 「私達の娘を助けてくださいっ!あの子は来週結婚する予定なので…お願いします」 椅子に腰掛けた両親はイリスの父に救いを求めた。悪魔払いは仕事としているが、魔界から来る王と戦えるのか不安を感じる。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!