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迷える者へ
これを見ているということはそなたは道に迷っているということだ…。
迷える者よ…ならば私が代わりにその道を示そう…
真夜中に時計の針が12の文字を刻む時、この城の図書室に来るといいだろ。
さすれば道が開かれよう。
「はぁ?!」
手紙にはそれしか書かれていなかった。
(意味わかんねーし!迷える者って俺迷ってねぇーし。しかもこの手紙の書き方親父並みに馬鹿臭い…)
ルチアは心の中でつっこんだ。
「いやっ…待てよ…。確かに人間界に行く道わかんねーけど、でも12時になんでまた図書室に行かなきゃなんねーんだよ!わけわからん。しかもこれクラウスの仕業じゃなさそうだし…。誰だよまぢで…」
とぶつぶつルチアが独り言を言っていると、開いた扉からクラウスが顔を出して覗き込んだ。
「ルチア様、ドアを開けっ放しにしてそんなとこに立ってなにをしているんですか?」
ルチアは焦って手紙を隠した。
「なんもしてねーし!」
明らかに挙動不審だ。
「あっ…今なんか後ろに隠しましたね?!」
「はぁ?!!隠してなんかねーし!そ…それよりお前は何しに来たんだよ。」
声が少し裏返りながらルチアがいった。
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