運命の本

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「えっ?!何?猫?」 その猫は黒い毛並みの目が金と青のオッドアイだった。 (か…かわいい…!) ルチアは猫好きだった。だからこの猫が突然現れたことになんの疑問ももたなかった。 「にゃー…」 ルチアは猫の鳴き声を真似しながら台の上の黒い猫に近づいていった。 (もうちょっと…) ルチアが後少しで猫に触れようとした瞬間、 「俺様に触るな!!このぴー野郎が!!!」 放送禁止ワードがどこからか飛び出した。 「えっ?誰だ?隠れてないで出てこい!!」 ルチアが慌てて当たりを見渡す…が、辺りには人影は無い。 すると、ルチアの目前から声が聞こえた。 「おい!小僧どこみてんだ!こっちだぼけやろう!」 声の方向に目を向けると黒い猫が喋っていた。 「なんだ…お前魔獣だったのか!!」 ※魔獣とは人の形をしていない魔物のことをいう。特に獣の形をして言葉を発する者のことを指す。 「最初から気づけ。こののろま!」 「なっ!てめー猫の癖に俺にのろまだと?!」 「本当のことを言っただけだ。」 黒い猫はヒゲを前足でかきながら言った。 「猫のくせに!!!」 ルチアは猫に馬鹿にされたことが気にくわないのか怒りで肩を震わせた。
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