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何とも無機質な感じで書かれている.
「どの部屋にもスイッチが付いています.それを押すとその部屋の電気が点きます.スイッチのある場所は部屋によって違います.」
スイッチ?ん、これか.どの家にも付いているような、普通のスイッチだ.
「スイッチを押すと、その部屋の電気が10秒間、点きます.また、あなたが部屋に入ってから5分後、この部屋の電気が消えます.電気が消えた部屋はその後24時間は再点灯いたしません.」
なんだって!?もう、この部屋に入ってから3分は経っているだろうか.とにかく、前に進まなければ.
次の部屋に入った.さっきの部屋の電気が漏れて、暗くはあるが、部屋全体を見渡せる.
部屋のど真ん中には、不気味な赤い四角形.
スイッチを見つけ、それを押した.
次の部屋のドアを開けた時.
「ぱちん」
一番最初の部屋の電気が消えた.
次の部屋にはまだら上に赤い四角形が散りばめられている.
スイッチを押した.電気がついた.寸前、
「ぱちん」
後ろの部屋の電気が消えた.
次の部屋に行かなきゃ.
スイッチはどこだ.
赤い四角形はどこにある?
次の部屋.
次の部屋.
次の部屋.
スイッチ.
スイッチ.
スイッチ.
「ぱちん」
「ぱちん」
「ぱちん」
何度繰り返したろうか・・・
「ハァ、ハァ・・・」
暗闇が怖くなり、走りすぎた男は大分、疲れていた.
ドアを開けた.
?・・・
今までの部屋と、何かが違う.
出入り口の近くにスイッチがあったので、押した.
「行き止まり」
そう見えた.
「はは、ははは・・・」
男は笑った・・・.
「ぱちん」
後ろの部屋の電気が・・・
「ぱちん」
真っ暗・・・・
「うわぁぁぁ・・!!」
男はさっきの部屋に戻り、違うドアを手探りで探した.
ドアを開けたが・・・
何も見えなければスイッチの探しようがない・・・
「う・・う・・・・」
男は前に出た.
「カチッ」
漆黒の闇の中に叫び声が響く・・・・.
そして、完全なる静寂.
完全なる、真っ暗闇・・・.
「囚人がトラップにかかりました」
試しの箱の側面の画面にそんな文字が現れた.
「またか・・・」
何も知らない看守はそう、呟いた.
「次の囚人を連れて来い.」
次の囚人がやってきた.
そして、箱の中に入って行った.
今度の囚人は助かるといいけど.
そう看守は思った.
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