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先日、私が仕事で田舎のホテルに泊まったときのことです.
そこは、周りに特に観光地もないのですが、結構大きなホテルが建っており、ちょっと場違いな感じでした.
私は明日が早いので、さっさと寝てしまおうと思っていました.
「ちょっと満員ですね~.」
どうやらその日は何か特別なコンサートが起こる日だったらしく、私以外にもお客さんが沢山いたみたいでした.
「本当に空いてないんですか?こんなに大きいホテルなのに.」
「えぇ、空いている事は空いているのですが・・ちょっとお待ちください.」
フロントの男は奥の業務員用のドアに入って行き、しばらくすると別の初老の男が出てきました.
「お客さん、408号室が空いていますが、一つ、同意書にサインを書いてください.」
「同意書!?」
私はビックリしてしまいました.
泊まるのに同意書へのサインがいるなんて!!
要するには、
「何らかの超自然現象が起こっても、ホテルは一切責任を持ちません.」と言いたいようだ.
私は思わずその初老の男を見つめてしまいました.
「いままで何人かいらっしゃいましてね.」
男はゆっくり口を開きました.
「幽霊を見たとおっしゃる方.でも、そんなものが存在するはずございません.しかし、一応、同意書を取っているわけです.」
(続く)
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