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・・・僕は、普通の高校生だ.
みんなは幽霊幽霊ってはしゃぐけど、自分には意味が分からない.
ただ怖がるだけなんて.
自分の身に本当に起きたら・・・
そう考えると面白いはずがない.
そう僕が思うのは何故か?
それは、僕は小6の時に、とても恐ろしい体験をしたからだ.
それは今でも、夜に一人でいられないという形で残っている.
・・・
小6の時、僕は塾に通ってた.
父と母は時々仕事が長引いて、夜遅くまで帰ってこないことがあり、そんな日は僕は夜遅く、暗い道を、駅まで歩いて行った.
駅までの道は15分.長くもなく、短くもなく.
また、僕は昔から怖がりで、まさしく「疑心暗鬼」だった.
「あの角の裏に包丁を持って、僕を待ちかまえてる人がいたら・・・」なんて考えてしまったりもした.
ある日.家を出てすぐ.
僕は「もし、僕の後ろに幽霊がついて来ていたら・・・」
と、考えた.
考えてしまった.
僕は後ろをキョロキョロ見ながら駅へと向かった.
そしたら何故か、道に迷ってしまっていた.
暗い道だ.街灯も途切れ途切れにしかない.
すると、後ろに人の気配がした.
バッと振り返ってみる.
誰もいない.
また前を向く.
今度は、真後ろで
「ハァー・・・ハァー・・・」
という声が聞こえた.
いかにも、ずっと走って来て息切れをした人のようだった.
後ろを向く.
誰もいない.
また、前を向く.
そして、僕は走り出した.
「待ってよ・・待ってよ・・・」
声はどんどん近付いてくる.
そして、その声には段々怒りのような感情が混じってくる.
「待ってよ・・・!待ってよ・・・!!」
ふと、前に粗大ゴミ置き場があった.
そして、そこには大きな衣装ダンス.鏡がついてた.
その鏡に映ったのは・・・
息切れした僕と・・・
血まみれの、浮かんだ能面.
「うわぁぁ!」
僕はさらに走った.
走って走って走りまくった.
気がついたら、駅についてた.
その時間は家から出て丁度10分後.
とても、途中で迷って着いた時間ではない.
このことは今も僕のトラウマだ.
もしかしたら、夜中、あなたが歩いているその後ろには・・・
血まみれの能面が、あなたの後ろであなたを見つめているかも・・・
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