6人が本棚に入れています
本棚に追加
赤いちゃんちゃんこ
これは私が昔、ある病院で勤めていた時の話です.
私は重度の火傷の患者さんが入院する病棟で看護婦をしていました.
何年か経ったある日のことです.
あるお年寄りの患者さんがいいました.
その人は火事で非常に深い火傷を負っていて、その日、3日ぶりに目覚めました.
私はその部屋の担当だったので、とりあえず、ご親族と医師先生を呼びました.
医師先生が来てから、その患者さんはいいました・・.
「あの・・あの赤いちゃんちゃんこを着たお婆さんはどこにいるんですか?」
「え?」
私は不思議に思いました.
今まで何人か親族の方がやってきましたが、その中に「赤いちゃんちゃんこを着たおばあさん」なんて人はいません.
「あの方、なんだかずっとこっちを見てたの・・ちょっと、怖くて.私が少し目を開けると・・毎回・・・」
「疲れてるんですよ.」
医師の先生が言いました.
私はその後、「今親族の方がこちらにくるところです」とか、「まだ完治していないので動かないで下さいね」とか言いました.
おばあさんはうん、うん、と頷きながら、再度眠ってしまいました.
その後、同じ部屋の幾つかの患者さんが、「赤いちゃんちゃんこを着たおばあさん」を目撃する、ということがありました.
そうすると、どこから聞きつけて来たのか、TV局の方がいらっしゃいました.
何でも、「赤いちゃんちゃんこを着たおばあさん」が現れる部屋で撮りたい、病院の名前も画像も出さないし、お金も出します、とのこと.
あまり幽霊を信じない教授は、それを許可しました.
撮影当日.TV局の方が部屋に入りました.
私はその部屋にいなかったので、後から聞いたことですが、
どうやらまずカメラのスイッチが入らなくなったことから始まったようです.
その後、女性タレントさんが「熱い、熱い」と叫びながらいきなりもがき苦しみだしたので、医師を呼び服を脱いでもらうと、腰から首にかけてと腕の付け根が軽い火傷を負って真っ赤になっていたそうです.
・・・まるで赤いちゃんちゃんこを着ているような形で・・・.
最初のコメントを投稿しよう!